人工膝関節(TKA)の術後のリハビリでよくある質問をまとめています。ご自身やご家族がリハビリをする際の参考にしてみてください。
Contents
✅ 基本的な疑問(術後直後〜退院まで)
- 膝の人工関節手術後、いつからリハビリは始まりますか?
- → 通常、手術の翌日から立ち上がりや歩行練習が始まります。
- リハビリは痛くても我慢してやるべきですか?
- → 強い痛みは逆効果。適度な痛みは許容範囲ですが、医療者と相談しながら進めましょう。
- 退院後のリハビリはどこで受けるのがベストですか?
- → 通院リハビリ、自宅での自主トレ、または訪問・オンラインリハビリなどがあります。
- 入院中にやるべきリハビリの内容は?
- → 膝の可動域訓練、筋力トレーニング、歩行練習などが中心です。
- 術後の腫れが引かないのは正常ですか?
- → 多くの場合、腫れは数週間続きます。冷却と挙上が効果的です。
- リハビリ中に膝が熱をもつのは大丈夫?
- → 炎症反応の一部としてみられることがありますが、長引く場合は要注意です。
- 杖はいつまで使うべき?
- → 一般的に術後4〜8週が目安ですが、歩行の安定度によって調整します。
- 人工関節はどのくらいで馴染みますか?
- → ほとんどの人は3か月前後で違和感が減ってきます。
- 夜に膝が痛くて眠れません。対策は?
- → アイシングや就寝前のストレッチ、痛み止めの調整が役立ちます。
- 正座はできるようになりますか?
- → 多くの場合難しいです。しゃがみ込みや膝立ちに関しては、一部の人は可能になることがあります。
✅ 可動域・柔軟性に関する質問
- 膝がまっすぐ伸びません。
- → 早期の対応が重要です。膝裏ストレッチを継続しましょう。
- 膝が90度以上曲がりません
- → 浮腫や痛みが原因のことが多いです。膝の屈曲ストレッチと屈曲運動を継続して、可動域改善を目指しましょう。
- 関節が固まる(拘縮)とどうなりますか?
- → 日常生活が制限されます。早期から可動域訓練を継続することが予防になります。
- 関節がパキパキ音がするのは大丈夫?
- → 異常でない場合も多いですが、痛みが伴うなら受診をおすすめします。
- 階段の上り下りが難しいです
- → 筋力・可動域・バランスの問題が複合しています。術後2-3ヶ月では難しいことが多いです。
✅ 筋力・歩行に関する質問
- 太ももの筋力が落ちていて歩きにくいです
- → 枕つぶしや脚挙げなどの大腿四頭筋訓練を継続しましょう。
- 歩き方がぎこちないのですが?
- → 膝の伸びが不十分なことが原因。歩行フォームを確認しながら訓練を進めましょう。
- 歩くとすぐ疲れてしまいます
- → 心肺機能や筋力の回復には時間がかかります。少しずつ距離を延ばしましょう。
- 術後、転倒が怖いです
- → 杖・手すりの活用とバランストレーニングが大切です。理学療法士と相談しながら、歩行訓練を進めましょう。
- 術前よりも歩けるようになりますか?
- → 多くの人が術前よりも痛みが少なくなり、歩行能力が向上します。
✅ 自宅でのリハビリに関する質問
- 自宅でできるリハビリメニューはありますか?
- → タオル滑り運動、膝伸ばし、太もも持ち上げなど簡単な体操があります。
- リハビリをやりすぎると悪化しますか?
- → 過度な負荷は炎症を悪化させることも。1日2〜3回程度が目安です。
- 毎日リハビリしないとダメですか?
- → 基本的には毎日継続が理想ですが、痛みや体調に合わせて調整してください。
- リハビリに適した時間帯はありますか?
- → 朝の関節が固い時間や、午後の活動前後が効果的です。
- YouTubeの体操でも効果ありますか?
- → 正しいフォームと内容であれば効果がありますが、自己流には注意が必要です。
✅ 痛み・不安に関する質問
- 術後数か月経っても痛いのは異常ですか?
- → 術後3〜6か月かけて徐々に改善しますが、痛みが強い場合は再受診を。
- 雨の日に膝が痛みます
- → 気圧変化による影響と考えられています。軽い運動が有効です。術後の炎症が落ち着いていれば、ホットパックも効果的です。
- 膝の奥がズーンと痛むのですが?
- → 筋肉・関節包の硬さや炎症が原因のことがあります。専門家の評価が必要です。
- 人工関節がズレることはありますか?
- → 通常の生活では問題ありませんが、転倒などによる脱臼や骨折には注意が必要です。
- 術後うつや不安感が強いです
- → 術後の心身の変化によりよくあることです。相談できる相手が複数いることが重要です。必要であれば術後リハビリドットコムもご活用ください。
✅ 生活・日常動作に関する質問
- 車の運転はいつからできますか?
- → 一般的に術後6〜8週程度から可能とされています。車の運転に関しては、主治医にご相談ください。
- お風呂はいつから入れますか?
- → 傷が乾いていれば、防水テープを貼って術後1〜2週で可能です。滑らないよう注意が必要です。
- 仕事復帰はいつごろ?
- → デスクワークなら1〜2か月、立ち仕事は3か月以上かかることもあります。
- 旅行やスポーツはできますか?
- → 術後3〜6か月以降に再開する方もいます。内容によっては制限があります。
- しゃがむ動作は可能ですか?
- → 難しいことが多いですが、股関節や足首の柔軟性で代償できる場合もあります。
✅ 医療的な疑問・合併症に関する質問
- 人工関節は何年もちますか?
- → 平均で15〜20年、最近は耐久性が上がってきていると言われています。使い方や体重によっても変わります。
- 再置換(やり直し)のリスクはありますか?
- → 感染や緩みが原因で行われることがありますが、頻度は低いです。
- リハビリをサボるとどうなりますか?
- → 拘縮、筋力低下、歩行障害などにつながります。
- 感染の兆候はどう見分ける?
- → 発熱、傷の赤み、膿、出血など。これらがある場合はすぐに受診を。
- 人工関節に違和感が残ることはありますか?
- → ある程度の違和感は残ることもありますが、日常生活には支障ないことが多いです。
✅ オンラインリハビリに関する質問
- オンラインでリハビリは可能ですか?
- → 専門職が指導することで、安全かつ効果的なリハビリが可能です。
- Zoomなどに不慣れでも大丈夫?
- → サポート体制があれば問題ありません。スマホ1台で対応可能です。
- 対面と比べて効果はありますか?
- → 適切な評価と指導があれば同等の効果が得られるという報告もあります。
- 自主トレだけでは不安です
- → 専門家の伴走サポートがあると継続率も上がりやすくなります。
- 費用はどれくらいかかりますか?
- → 内容によって異なりますが、1回の面談で5,000円程度、ひと月のパーソナルサポートが15,000円程度が相場です。
- 母が手術予定です。息子が登録して、母に使ってもらうことはできますか?
- → もちろん可能です。息子さんや娘さん、お孫さんからご紹介を頂くケースも多々あります。
✅ その他よくある質問
- リハビリのモチベーションが続きません
- → 小さな目標設定や、仲間・専門家のサポートが有効です。
- 他の病気があってもリハビリできますか?
- → 主治医と相談の上、無理のない範囲で実施可能です。
- サポーターや装具は使った方がいい?
- → 状況に応じて活用することで、安定性や安心感が得られます。ただし、筋力低下や可動域制限には注意が必要です。
- 術後に体重が増えてしまいました
- → 活動量の低下が原因です。食事と運動の見直しをしましょう。
- リハビリがうまく進んでいるか不安です
- → 専門家に定期的に評価してもらうことで、安心して取り組めます。
以上がよくある質問になります。もしお困りの際や、分からないことなどありましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。また、術後リハビリを安心して進められるように、オンラインでのサポートサービスもやっておりますので、必要であれば下のボタンからお申し込みをよろしくお願いします。

理学療法士歴8年。英国ノッティンガム大学大学院理学療法筋骨格系コース修了。現在は聖路加国際病院で整形外科術後患者を中心に担当。専門分野は整形外科術後、運動器、遠隔リハ。術後のリハビリについて研究および臨床を行いながら、最適化を目指す。